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新着情報を追加しました
- (11/13)新着情報に「『刀剣乱舞-ONLINE-』に登場する名刀も掲載」を追加しました。おなじみの名刀も収録しています。ぜひ、ご覧ください。
(11/10)新着情報に「『埋忠刀譜』と『埋忠銘鑑』の違いは?」を追加しました。 -
名刀の姿を伝える、貴重な古記録を届けたい
- 桃山時代(16世紀後半)の京都に現れ、各地の有力大名から古今東西の名刀に関する様々な仕事を請け負った職人一族、「埋忠一門」です。
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【特別展「埋忠<UMETADA>桃山刀剣界の雄」出品の「重要美術品 短刀 銘 山城国西陣住人埋忠明寿 慶長拾三年三月吉日/所持熊谷清六」(東建コーポレーション蔵)。刀身彫刻を得意とした埋忠明寿の技が冴える】(埋忠刀譜には収録されていません)
- 彼らは、刀身と茎の間にあって刀身を固定する役目のある「鎺(はばき)」を中心とする金具や、「鐔(つば)」などの刀装具に刀剣そのものの製作まで、幅広く名刀に関わる職人の名門として活躍しました。
その技量と芸術性は高く評価されています。 - 一門が残した貴重な作業記録は、原本が行方不明となっていますが、その一部を抜き出した貴重な写本が『埋忠刀譜(うめただとうふ)』として残っています。
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【原本の表紙と内容です。複製本の表紙デザインは制作中です】
- 埋忠家が江戸時代初期の慶長10年(1605年)から万治3年(1660年)にかけて仕事の依頼を受けた名刀について、ほぼ原寸大で精密に描かれた茎(なかご)図を中心とした様々な刀の絵図が、おおむね依頼を受けた年代順で記載されています。
さらに、職人たちが書き入れた注記は、その刀に関する貴重な情報源でもあります。
『埋忠刀譜』は、原本の字配り・書風までも真似て写してある、最もオリジナルに近い内容で、しかも、ページに欠けの無い状態で伝わっている唯一の写本です。
お気に入りの刀剣の姿をさらに深く知るために。様々な名刀を収めた事典のように使うのに。刀剣愛好家の手元に欠かせない一冊です。 - 10月31日から大阪歴史博物館で、来年1月9日から東京・刀剣博物館で、埋忠一門に焦点を合わせた特別展「埋忠<UMETADA>桃山刀剣界の雄」が開催されるのに合わせ、この貴重な古記録を複製・頒布します。
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最新調査に基づく「決定版」
- これまでも、写本が復刻されていなかったわけではありません。
大正時代に、中央刀剣会が保存していた写本から作った復刻本『埋忠銘鑑』が刊行され、その後も何回か、ほぼ同内容の物が販売されました。
ただ、現在では絶版となり、古書店で探すしかありません。簡単に入手できる本ではなくなってしまいました。
また、中央刀剣会の写本については、原本の配列を大きく入れ替える変更があり、写し間違いや注記の省略、絵図の変形などの問題点が少なくないことも判明しています。
そして今回、大阪歴史博物館と東京・刀剣博物館で開催する特別展「埋忠<UMETADA>桃山刀剣界の雄」のために、九州産業大学・吉原弘道准教授があらためて調査しました。
その結果、現存する肉筆写本の中で、刀剣博物館が所蔵する写本『埋忠刀譜』が最も原本に近いものであることが判明しました。
今回復刻する『埋忠刀譜』は、その刀剣博物館所蔵本の複製です。サイズも原寸大、B4サイズ(タテ約36cm、ヨコ約26cm)相当の大型本です。
従来の復刻本は図版のみの複製か、もしくは図版に全体解説を付け加えただけのもので、絵図に書かれた刀の銘や、その横に職人たちが崩し字で書き入れた注記は、読者が自分で解読するしかありませんでした。
今回、こういった刀の銘や注記も活字にして、記載しました。
これにより、崩し字の知識が無くても、名刀の来歴や所持した人物、埋忠家や親密な関係にあった本阿弥家など、当時の日本を代表する腕利き職人の活動状況といった、様々な情報を知ることができるようになりました。
これらは一覧表形式で掲載し、簡単な解題と刀工索引をつけて掲載します。
一覧表と刀工索引によって、お目当ての刀剣の情報を手早く調べ、その刀はどのページのどの図版か、簡単に確認することができます。 -
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失われた名刀も掲載
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名物刀剣・号を持つ名刀だけで53口も!
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【上記画像は『埋忠刀譜』に絵図が掲載されている重要文化財 短刀 無銘 貞宗(名物 太鼓鐘貞宗)(個人蔵)。特別展「埋忠<UEMETADA>桃山刀剣界の雄」にも出品される】
- 時代時代に専門家の手で作られてきた名物帳(名刀リスト)に所載された超一流の有名刀剣だけでなく、名物帳には無くても、様々なエピソードを持ち、愛称をつけられて親しまれてきた刀剣も幅広く収録されています。
しかも、現在では行方不明になった名刀も収録されています。この記録でしかその姿を知ることは出来ないという刀も、少なくないのです。
おなじみの名刀でも、現在とかつてで姿が変わっている、という例もあります。
刀剣界における埋忠家の役割を知る上でも、名刀の歴史や以前の姿を知る上でも、欠かせない一冊です。 -
収録の名物刀剣・号を持つ名刀
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〈宗近〉鷹巣宗近
〈国次〉源来国次
〈国綱〉大国綱
〈吉光〉真田藤四郎、鎬藤四郎、江戸新身藤四郎、鯰尾藤四郎、厚藤四郎、包丁藤四郎、包丁藤四郎
〈当麻〉村雲当麻
〈行光〉大島行光
〈正宗〉観世正宗、堀尾正宗、大坂長銘正宗、夫馬正宗、右衛門正宗、八幡正宗、大黒正宗、池田正宗、九鬼正宗、桑名(中務)正宗、江戸長銘正宗、菖蒲正宗、小田原正宗、金森正宗、道意正宗、若狭正宗、岡本正宗、石野正宗、対馬正宗、前田正宗
〈貞宗〉太鼓鐘貞宗、池田貞宗、寺沢貞宗、長銘貞宗、長銘貞宗
〈長光〉日光長光、朝倉長光、青屋長光
〈青江〉にっかり青江
〈三原〉大三原
〈行平〉矢の紀新大夫
〈左〉常陸左文字、山田左文字
〈兼氏〉安宅志津
〈義弘(郷)〉稲葉江、増屋江、鍋島江、桑名江、蜂屋江、上野江、長谷川江
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装丁と紙質にもこだわり
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- 貴重な研究資料でもあるこの記録。刀剣愛好家が手元に置いて、将来にわたって事典のように活用出来るよう、また、古書らしい風合いが出るよう、装丁と印刷、紙質にこだわりました。
こだわりの内容の本だけに、関心を持って頂けるか思いを巡らせましたが、この貴重な本を頒布することは、刀剣の魅力を世に広める上で大きな意義があると考えました。
ご自分用にお届けする1冊コースのほか、「1冊はお手元に、1冊は公共図書館に献本して、広く世間に刀剣の魅力を伝えるコース」も用意させていただきました。
どうぞ宜しくお願いいたします。 -
推薦の言葉
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『埋忠刀譜』複製本発刊を喜ぶ
- 佐野美術館理事長 渡邉妙子
九州産業大学准教授・吉原弘道先生の監修による『埋忠刀譜』複製本が出版されることになりました。
吉原准教授は、古文書学的視点から「観智院本銘尽」の整序研究、次いで「龍造寺本銘尽」の発見により、両書の比較研究によって刀剣の鑑定書誕生の謎に一条の光を当てられました。
この度、吉原准教授監修により、『埋忠刀譜』が復製発刊されることは、刀剣界のみならず、中世武家政権の歴史研究にとって、大変有意義な資料提供になることと思います。
金工を本職とする埋忠家は、鑑定・研磨を本職とする本阿弥家と共に、新興大名の名刀収集と名刀を名刀たらしめる折紙、無銘刀剣への名工の金象嵌、鎺や刀装具の飾り金具の整備などに尽力しました。外部には内密にされていた依頼を受けた武将たちの名、仕事の内容、価格などの手控帳が即ち『埋忠刀譜』なのです。
一頁開いたら、最後まで頁をめくりたくなることでしょう。 -
“令和版・埋忠銘鑑”の実現を応援します
- 大阪歴史博物館学芸員 内藤直子
このたび、特別展「埋忠」の開催にあわせ、刀剣博本『埋忠刀譜』の複製本の刊行が具体化したことを、同展担当者として心よりうれしく思います。
これまで『埋忠銘鑑』を参照するときに感じていた不便さが解消された、安心して使える基礎資料として書棚に1冊備えておきたい良書であり、令和の刀剣研究に必携の書となることが期待されます。
監修の労を賜りました吉原先生をはじめ、関係各位に感謝申し上げますとともに、今回のCF(クラウドファンディング)が学術支援の良い先例となりますよう、皆様からのあたたかいご支援を賜りますようお願い申し上げます。