-
ご支援感謝&まだまだ図録ございます!
- ご支援ありがとうございます。開始一日で、「最低でも…」の目標が達成できました。ただ、図録はまだまだございます。引き続き、お願いします!(6月4日)
-
特別展「よみがえる承久の乱」の成果を伝えたい
- いまから800年前、後鳥羽上皇が鎌倉の執権・北条義時の追討命令を発しました。しかし、鎌倉方との合戦に敗れて隠岐国に流されました。日本史上の大事件「承久の乱」です。
-
- これを機に、鎌倉幕府優位の下、公家と武家が並存する時代となりました。追討命令を出された北条義時は、来年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主役でもあります。
この戦乱に関わる最新の研究成果を集めた特別展「よみがえる承久の乱」が今年4月、京都文化博物館で開かれました。 - ところが新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言で、会期半ばで閉幕に。
このまま、お蔵入りではもったいない。 解説論文や歴史資料・美術工芸品の写真を収録した公式図録と音声解説ガイドで、多くの人に特別展を追体験して欲しいと、クラウドファンディングで頒布させていただきます。
ご支援へのお礼に、後鳥羽上皇や北条義時の絵姿をデザインした特製缶バッジも、用意させていただきました。 -
-
承久の乱とは
- 承久3年(1221)5月15日、後鳥羽上皇が鎌倉の執権、北条義時の追討命令を発しました。
-
- 【約80年ぶりに再発見された「承久記絵巻」のうち巻第2(部分)(和歌山・龍光院蔵)】
※左上の橙色の衣装の男性が北条義時。歴史資料で初めて、その姿が確認されました。 - しかし、北条時房・泰時等が率いる東国御家人の軍勢が、東海・東山・北陸の三道から上洛し、大豆渡・墨俣、瀬田・宇治などの合戦は、鎌倉方の勝利に終わりました。
合戦に敗れた後鳥羽上皇は出家し、隠岐国(現・島根県海士町)に流されます。京には鎌倉幕府の出先機関「六波羅探題」が設置され、京や西国の支配に当たることとなりました。
この承久の乱を機に、鎌倉幕府の優位のもとで公家と武家が並存する時代となります。
近年、この戦乱に関わる書籍も複数発行され、800年の節目の年にあたる今年、2021年には、各地で記念事業が予定されています。
承久の乱の一方の中心人物である北条義時は、2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公と、発表されています。 -
「承久記絵巻」の再発見
- 特別展の目玉の一つが、長らく所在不明で内容も不明という状況が続いていた「承久記絵巻」を見つけ出し、展示に加えたことです。
承久の乱の経緯を描いた絵巻物では現存唯一の貴重な資料です。 -
- 【全6巻がそろって再発見された「承久記絵巻」(和歌山・龍光院蔵)】
- 特別展を開催した京都文化博物館の長村祥知学芸員(当時)は、学生の頃から承久の乱を研究してきました。
特に、1939年に恩賜京都博物館(現・京都国立博物館)で開催された「後鳥羽天皇七百年記念拝展」に出品されて以来、所在が不明となり、内容もはっきりと伝わっていない「承久記絵巻」に関して、そのありかを探り続けました。
「学生の頃から、歴史や美術の専門家に会う度に、承久の乱に関わる資料、特に『承久記絵巻』の情報があったら教えてくださいとお願いしていたんです」と、長村さん。
2019年、長村さんは、ついにその所在を突き止めます。「知人からの情報で再発見できたときの感動は、言葉になりませんでした。」と話します。
調査に調査を重ね、一つの戦乱と絵巻への情熱が実を結んだ瞬間でした。 -
新知見と、展覧会の実現
- 「承久の乱は後鳥羽上皇が倒幕を図った戦乱」・・・。辞書や事典にも載っている定説に異論を唱え、その見直しの動きに貢献してきた長村さん。
著書『中世公武関係と承久の乱』(2015年)では、後鳥羽上皇が倒幕ではなく北条義時の追討を目的として乱を起こしたとするなど、新たな日本史の見方を提示しています。
2021年4月6日~5月23日の期間で、展示替えも交えて開催される予定で、長村さんが担当する特別展「よみがえる承久の乱ー後鳥羽上皇vs鎌倉北条氏ー」が実現しました。
約80年ぶりに再発見され、まとまって残る現存唯一とされる「承久記絵巻」(和歌山・龍光院蔵)をはじめ、後鳥羽上皇宸翰(自筆)の国宝「熊野懐紙」(京都・陽明文庫蔵)や、上皇自ら作刀したと伝わる重要文化財「菊御作」(京都国立博物館蔵)を展示しました。 -
- 【「承久記絵巻」巻第3(和歌山・龍光院蔵)】
※上洛途中の鎌倉方と京方が美濃国莚田で合戦。鎌倉方が勝利。 - さらには、北条義時が守り神とした「戌神」の姿を伝える神奈川県指定重要文化財「戌神像(旧辻薬師堂十二神将のうち)」(神奈川・鎌倉国宝館蔵)、鎌倉御家人の家に伝わった「山内家文書」(個人蔵〈山口県文書館〉)など、約160点の資料が会場に集結しました。
質量共に、過去に類を見ない、承久の乱をテーマとする大規模展覧会でした。 -
- 【「承久記絵巻」巻第4(部分)(和歌山・龍光院蔵)】
※攻める鎌倉方(右側)と、橋板を抜いて応戦する京方(左側) -
コロナ禍での無念の開催中断、そして閉幕
- しかし、会期中の4月25日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府の緊急事態宣言が発令されました。
京都府も対象となりました。府から府立施設休業指示が出され、5月11日まで休館することとなりました。 -
- 再開を祈り、後期の展示にむけて展示替えなどの作業を進めていたものの、5月31日までの宣言延長が決まり、再開せずに閉幕することが決定してしまいました。
長村さんら学芸員、博物館スタッフを始め、主催団体、出品者・協力者、グッズや音声ガイドの担当者など、展覧会を様々な方面から支えてきた関係者にとって、非常に残念な結果となりました。
開館中は好意的な反響が広がり、閉幕が決まった後も、「観覧できず残念」という声や、「会期延長」「京都以外での開催」を希望する声も、多数届きました。 -
- 【閉幕が決まり、展示を撤去した館内】
-
展覧会の熱を、なんとかして皆さんに伝えたい
- 長年研究を重ねてきた長村さんにとって、この展覧会はまさに、学芸員としての集大成でした。
承久の乱への探究心と、積み重ねてきた文化財調査の成果は、会場ショップで販売していた公式図録にも集積されています。
様々な事情で会期は延長できず、今から別地域での巡回展を企画するのも困難です。
なんとか、この成果を多くの方々にお届けできないか。
会場で来場者に楽しんでいただき、好評だった音声ガイドも、このまま終わらせてしまって良いのか。
関係者一同で熟考を重ね、クラウドファンディングという形で、皆様の元へお届けできればと思っております。
応援のほど、よろしくお願い申し上げます。 -
図録と音声ガイド、缶バッジも
-
- 【最新の知見や貴重な資料・美術工芸品のカラー写真が詰まった図録】
- リターンとなる公式図録はB5サイズ、全240ページのソフトカバー。
約80年ぶりの展示となった「承久記絵巻」を始め、解説論文と豊富なカラー写真で、多角的に承久の乱を再現します。
承久の乱にテーマを絞った、かつてない規模の特別展の公式図録。ここで逃したら、同じだけの質量が盛り込まれたものは、もう手に入らないかもしれません。
歴史ファンはもとより、来年の大河ドラマの舞台背景に関心のある方にも、欠かせない一冊だと自負しています。
音声ガイドは、お手持ちのスマートフォンで再生できる電子データでお届けします。図録をめくりながら再生していけば、展覧会場が追体験できます。
QRコードが利用できるスマホなら、機種を問わず使用できます。
「会場で図録は購入したが、音声ガイドは利用しなかった。ガイドも聞いてみたい」という方に向けて、音声ガイドだけお届けするコースも用意しました。
また、より多くの皆さんに図録をご覧いただくため、図書館への寄贈コースも設けました。
1冊を支援者様のお手元に届け、1冊を公共図書館に献本し、大勢の方に承久の乱の新知見をお伝えしよう、というコースになります。
さらに、本クラウドファンディングへのご支援へのお礼として、特製缶バッジも一緒に送らせていただきます。
3個セットで、各直径約3.5センチ、後鳥羽上皇や北条義時の絵姿などをあしらったデザインです。 -
- 右:天子御影(部分)京都・陽明文庫蔵、中:承久記絵巻 巻第二(部分)和歌山・龍光院蔵、左:承久記絵巻 巻第二(部分)個人蔵、台紙:重要文化財 熊野懐紙「山河水鳥・旅宿埋火」 後鳥羽天皇宸翰 京都国立博物館蔵
-
推薦の声、関係者の声
-
創価大学文学部 坂井孝一 教授
- 『よみがえる承久の乱展』の途中閉幕を惜しむ
京都文化博物館で開催されていた『よみがえる承久の乱展』が、新型コロナウイルス感染拡大を受けて発令された緊急事態宣言によって、会期途中での閉幕を余儀なくされました。
実は私もホテルを予約し、二日がかりで見学しようとしていたので落胆いたしました。本当に残念なことです。
今からちょうど800年前に起きた承久の乱は教科書にも載っている事件ですが、これまではさほど注目されてきませんでした。
しかし、京都文化博物館の学芸員でいらっしゃる長村祥知氏が積極的に研究をリードされ、新たな歴史像を明らかにされました。
長村氏のご研究に導かれつつ、恥ずかしながら、私も承久の乱に関する著書を出版した次第です。
新たな歴史像とは、後鳥羽上皇が目指したのは倒幕ではなく、鎌倉幕府の執権北条義時の追討だったというものです。
長村氏が主導された本展覧会もこうしたコンセプトのもとに企画されています。最新の研究成果を踏まえた画期的な展覧会といえるでしょう。
展示物も豪華です。後鳥羽上皇と同時代の著名な歌人藤原定家の日記「明月記」や、上皇が焼入れをしたと伝える刀剣「菊御作」、そして何といっても注目に値するのは、所在不明になっていた「承久記絵巻」です。肖像画や木像がいっさい残っていない北条義時の姿が描き込まれている点も貴重です。
さらに、展示物の解説や著名な研究者の寄稿を掲載した充実の図録、数々の興味深いグッズ類など、展覧会に足を運べば手に入れることのできた品々はたくさんあります。
会期途中での閉幕はまことに惜しむべきことですが、承久の乱後800年に開催された本展覧会の価値・意義が損なわれることは決してありません。私はそう確信しています。 -
京都府京都文化博物館 長村祥知 学芸員(当時)
-
- 特別展を担当した、長村さん(写真)からのあいさつ
- 大学生の頃から承久の乱を研究してきました。京都文化博物館に就職してからは、様々な業務を担当するなかで、多種多様な歴史的資料に触れ、京都や各地の歴史・文化財関係者から面識を得ることが出来ました。
博物館の特別展は、様々な検討を経て主題が決まり、さらに諸方面の協力を得ないと、開催できません。
承久の乱から800年となる2021年4~5月に、大規模展としてはおそらく初めての承久の乱を主題とする特別展を開催することとなり、担当学芸員として、各地の専門家や博物館・寺院・団体・個人の方々に御相談させて頂きました。
私の研究課題を御存知だったこともあるのでしょう、過去にもお世話になった皆様から最大限の御支援を賜わりました。御仲介を得て初めてごあいさつ申し上げた方からも、快く御対応頂きました。
展示図録には、「承久記絵巻」をはじめとして、たくさんの初掲載資料を含む展示品をなるべく大きなカラー図版で掲載しています。私含む13名の専門研究者が、基礎情報と新知見に富んだ解説・コラム・論考・図表等を執筆しています。
多くの方の御協力のおかげで開催できた特別展『よみがえる承久の乱』。その内容を、より広く知って頂きたいと思います。