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目次
- お時間のない方は、1と2だけお読みいただければ幸いです。
1.ジャパニーズウイスキー100周年を契機に、更なるウイスキー文化を発展させたいという願い
2.グラスの特徴と留意事項
3.グラス誕生までのストーリー
4.日本におけるウイスキーを楽しむ文化に対する私の考え -
1.ジャパニーズウイスキー100周年を契機に、更なるウイスキー文化を発展させたいという願い
- ジャパニーズウイスキー100周年を契機として、日本のウイスキーの歴史を振り返ると、ウイスキーが浸透し定着化したのは「水割り」「ハイボール」という飲み方の貢献が大きいと言えるのではないでしょうか。
マスターオブウイスキーとなった私自身の過去を振り返えってみると、ウイスキーの最初の入り口はやはりウイスキーの水割りやハイボールでした。そして、現在でも、お酒を飲み始めるときにウイスキーのストレートからということは稀で、食事と共に水割りやハイボールを食中酒として楽しみ、その後にウイスキーのストレートを楽しむことがほとんどです。日々、バーテンダーとしてお客様と接する際にも、同様の楽しみ方をしている方が多いなという印象です。
そして、十数年前にウイスキーの本場であるスコットランドに初めて出向いた時に気が付いたことなのですが、ウイスキーを水割りであるいはソーダ割りでとバーでオーダーをしても現地のスタッフには伝わらないことに衝撃を受けました。今でこそ、水割りやハイボールは世界に浸透しつつありますが、日本ならではの発展を遂げた文化の1つと言えるのではないでしょうか。
そこで、100年の歴史を持つジャパニーズウイスキーの原点に回帰し、更なる発展の一助となることを夢見て、日本独自に発展を遂げたウイスキーの水割りやハイボールに合ったグラスを開発しようと決意しました。
ウイスキーがお好きな方はもちろんのこと、苦手な人にも水割りやハイボールの良さを再確認していただき、より多くの方にウイスキーを楽しんでいただくきっかけとなり、ジャパニーズウイスキーの歴史がこの先100年200年と永続発展することを願っております。 -
2.グラスの特徴と留意事項
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見た目を楽しむ
- グラスの形状は、飲み口に向かってエレガントなカーブを描いて徐々に広がっていきます。
重心が高く浮遊感を感じさせる形状は、まるで高貴な百合の花のようなシルエットであり、どこか雅やかなパーティードレスを纏う女性の姿を連想させます。また、しなやかな曲線美が香りを咲き誇らせるイメージを彷彿とさせます。 -
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香味を咲き誇らせ、最大限に味わう
- グラスの口径を広めにデザインしているので潜在的な香りをキャッチしやすくなっています。そのため、ノージングをしながら味わいを楽しむことができる珍しいタンブラーと言えるのではないでしょうか。
飲み口は唇に自然にフィットするカーブで、液体が舌をベールで包み込む様に広がり、舌の全てで味わいを感じることができます。
ハイボールや水割りに使用することで、モルトならではの甘味を一段と感じ取りやすくなり、原料由来の香味を引き出します。 -
手に馴染みやすく、心地よい口当たりを楽しむ
- ハンドメイドで柔らかみのあるしなやかな質感が手に馴染み、また、自ずと持ち手はグラスの底近くに添えやすく、気品ある立ち振る舞いを演出します。
グラスの薄さは口当たりの心地よさをもたらします。
ハイボールを試飲してみましたところ、結果的に、シャンパンのようなきめ細やかで緻密な泡立ちとなり、舌触りが優しく、上品さを感じさせる飲み口となりました。 -
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長い時間、ウイスキーと向き合う
- 舌の両端の奥底まで液体が広がり、僅かに液体が留まることで、舌で感じる味わいと鼻腔に抜けるフレーバーの長い余韻を楽しむことができます。
お気に入りのウイスキーを、少し濃いめでじっくりと、ゆったりと味わうのがおススメです。
お食事と共に、また、特別なひと時のお供として様々なシーンで、ワンランク上のロングドリンクを楽しんでいただく際に、ご利用いただければ幸いです。 -
メーキングやお手入れがしやすい
- 液体が注ぎやすく氷の収まりが良いフォルムで、バースプーンやマドラーでステアがしやすくなっております。また、グラスの曲線に多角的に光が反射し、氷が美しく映ります。
大人の指でも容易に入る口径の広さで、食器用スポンジで奥まで洗うことが可能で、洗いやすすぎがしやすく、そして拭き上げやすい形状となっております。 -
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※ご注意点
- 本タンブラーは、飲み口の良さを追求するために薄さを重視しておりますので、乾杯の時に決してグラス同士をぶつけないようにご注意いただきますよう、よろしくお願い致します。
また、本タンブラーは、国内にて熟練のガラス職人が、吹きガラスという伝統的な製法で作ったハンドメイドのグラスです。
機械的に大量生産したものとは違い、一点一点が少しずつ形を異にし、二つとない個性を作り上げていることをご了承ください。
また、吹きガラスという製法上、ガラスの中に気泡が入ることも多分にございます。これも、「一点もの」ならではの個性とお考えいただければ幸いです。
「人間に例えるならば、ほくろの様なもの」「個性の1つとして、ご愛着をお持ちいただければ」と考えております。
以上を予めご理解の上でご購入いただけるよう、よろしくお願い致します。 -
3.グラス誕生までのストーリー
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はじめに 「咲(SAKI)グラス」の進展
- 前回の咲(SAKI)テイスティンググラスのクラウドファンディングにて、多くの皆様から温かいご支援を頂きまして、この場をお借りし、改めて感謝を申し上げます。
- 皆様のお力添えのおかげで、咲グラスの第2弾としてタンブラー開発に着手することができました。
改めてではございますが、咲(SAKI)グラスの名前の由来をお伝え致します。
咲くには開花するという意味があり、ウイスキーの「香りを咲き誇らせる」ようなグラスにしたいという想いにぴったりな意味合いと考えております。また、「咲」と書いて「えみ」と読むことが知られております。「咲(SAKI)グラス」を使って「笑み」が満開になっていただければという想いを込めて命名致しました。 -
タンブラーのコンセプトとは
- どのようなタンブラーグラスを造ったら良いのかということで、コンセプトの洗い出しから始めました。
咲グラスらしさを考えると、「くびれによる曲線美」があり、「香りの広がり」をもたらす口径の広がり、そして、香りをとりやすい「口径の広さ」そして、「唇への自然なフィット感」をもたらす口径のカーブ。
そして、タンブラーは身近なグラスであるが故、機能面の扱いやすさも重要です。
「氷の収まりが良く」また「液体の注ぎやすいこと」そして、ステアやビルドがしやすいという「メーキングのしやすさ」も忘れてはいけません。 -
まずは数値からスタート
- 手始めに、お店で使用しているタンブラーをよく知ることから始めました。容量、高さ、幅、重さなど、数値にできるものは明確にしていきました。
また、市販のグラスも購入し、様々なグラスのデザインの情報を収集していきました。一口にタンブラーといっても非常に幅が広いことに改めて気づかされました。 -
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グラスの幅と飲み口のカーブのトレードオフ
- 最初に、グラス幅を悩みました。ステアがしやすく、かつ氷を適切に積み上げるために、一定の幅感が必要になりますが、デザインとしてのエレガントさに欠けてしまいます。
そして、飲み口のカーブをあまりに広げてしまうと、咲グラスらしさは高まるものの、グラス全体が大きくなってしまい、すぼめてしまうと特徴が出にくくなる。このはざまで悩みました。 -
- いろいろと悩んだ結果、「特徴的なデザインこそが咲グラスのモットーだ」という考えに辿り着きました。
そこで、ぎりぎりの幅とすることに挑むこととし、3Dプリンターで試作をしてみました。 -
- 形状はスタイリッシュで理想に近く、大変に気に入りました。しかし、ハイボールを実際に作ってみると、適切に氷を積み上げることが難しく、またバースプーンも奥まで入れにくく、機能面での問題が多く見つかりました。
デザインの良さを求めるあまり、幅を狭くしすぎたことに気づかされました。 タンブラーはテイスティンググラスに比べて自由度が低く、針の穴に糸を通すような難しさを感じました。
その後、飲み口のカーブとグラスの幅のバランスを数ミリ単位で調整を重ね、図面の試作は、気づくと 20 を超えていました。
そして、これなら行けるというバランスをなんとか見出し、3D プリンターによる試作の第2弾を行いました。
幅の問題は解消され、氷は積み上げやすくステアもしやすい幅にすることができました。しかし、全体的にグラスが大きくなすぎてしまい、ボリューム感あるフォルムで咲グラスらしさを感じることができませんでした。 - 3Dプリンターでの試作品の第1弾と比較してみると、第2弾の方が高いことに気が付きました。幅と飲み口の微調整を重ねるうえで、グラスの高さを高くし過ぎてしまっていました。高さについては、第1弾の試作品を気に入っていたので、思い切ってカッターで第2弾の試作品の口径部分を段階的に切り取り、理想に近いフォルムを見出し、着地することができました。
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そして、ようやく試作品ができあがりました
- 試作品を手にすると、とても美しいフォルムに目を惹かれ、ハイボールや水割りをひと口飲んだ瞬間、このタンブラーはより多くの方にウイスキーを楽しんでいただくグラスだ!と確信しました。
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ロゴマークの名入れにもひと工夫
- テイスティングの咲グラスはサンドブラストでロゴマークを名入れしたので、タンブラーも同様に名入れをしてみましたが、実際にハイボールを作ってみると、結露した水滴によって、ロゴマークがほとんど見えなくなってしまいました(下の写真の左側)。
テイスティンググラスの時とは勝手が違うことに気づき、他の名入れ方法を探し、水に強いシールプリントという方法を採用するに至りました(下の写真の右側)。 -
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- 咲グラスのイメージの統一感を大切にするため、化粧箱やゴムバンドはテイスティングの咲グラスと同様のものとしました。
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- そして、従業員一同で、出来上がったグラスを1つ1つ検品しました。
冒頭にも記述しましたが、2つとして同じものが存在しない、職人さんによる1点もののハンドメイドが故、製法の特質上、形状が多少異なったり、気泡が入っていることも多分にございます。
これらをご了承のうえ、ご支援いただきますよう、よろしくお願い致します。 -
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4.日本におけるウイスキーを楽しむ文化に対する私の考え
- テイスティングの咲グラスの開発で、グラスによる味わいの違いの魅力を知ったからこそ、新たなグラスづくりをする決意に至りました。お酒を提供する器にも、もっと関心を寄せるべきだとバーテンダーとして痛感しました。咲グラスを通じて、ウイスキーを楽しむグラス自体への興味・関心が高まることに寄与できたら何よりです。
最高のウイスキーは最高のグラスで味わう、また、日本の職人が作るウイスキーと日本の職人が作るグラスで楽しむという楽しみ方の提案となれば何よりです。
そして、日本におけるウイスキーを楽しむ文化を広げたいという思いは、マスターオブウイスキーとしての私の使命であり、一貫した想いです。100年の歴史を経て文化となった水割り・ハイボールと食事を楽しむというスタイルの更なる浸透に向けて、今回の咲タンブラーが一助となればうれしい限りです。
本プロジェクトによってウイスキーファンが増える契機となることを何より望んでいます。
ここ数年で90を超えるジャパニーズクラフトディスティラリーが誕生しました。ウイスキーファンが増えることは、これらのジャパニーズクラフトディスティラリーが更に発展することにつながるからです。
ウイスキーに対してもグラスに対してもそして作り手の方々へもリスペクトをもって楽しんでいただければ幸いです。
また、本プロジェクトをSNSなどで拡散していただくなどといった形でも応援していただけると、うれしいです。 -
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「配送先住所・連絡先のお間違い」にご注意ください
- グラスは5月末以降を目処に、順次発送させていただきます。
配送先の住所を誤って入力された場合や転居された場合など、ご支援者様の都合で返礼品(タンブラー)がお届けできず、弊社に返送されてきた場合、メールまたは電話でその旨をご連絡させていただきます。
新たなお届け先をご指定いただき次第、着払いで再配達致します。
ご支援者様が連絡先やメールアドレスを誤って入力されたなど、ご支援者様の都合で弊社からの連絡が付かない場合、返送されてきた返礼品は「2023年10月31日まで保管」致しますが、その後は処分させていただきますことを、あらかじめご了承願います。
いつまで経ってもグラスが届かないなど、「おかしいな」と思われましたら、新宿ウイスキーサロン 03-3353-5888 まで、お手数をお掛け致しますが、ご連絡をいただければ幸いです。