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はじめに
- 「絵金」こと金蔵のものとみられる屏風の修復費用を募るプロジェクトです。複数の専門家から「真筆の可能性が高い」との鑑定を得ており、謎に包まれた絵金の生涯をつかむ貴重な手掛かりにもなるとみられています。
- あべのハルカス美術館で展覧会「恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金」(4月22日~6月18日)が開かれ、絵金への関心がこれまで以上に高まる中、ぜひお力添えをお願いします。
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〈1〉クラウドファンディングを行うのは、絵金の作品の保存・展示に取り組む公共施設「絵金蔵」です
〈2〉集まった金額からお礼の品などの費用を差し引き、絵金蔵の予算と合わせて、屏風の修復を行います
〈3〉支援のお礼に、修復完了後に「お披露目会ご招待」や「絵金蔵所蔵品の解説付き鑑賞会」などを用意しました
〈4〉詳しくは、これから説明させていただきます。ぜひ、お読みください
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「伊達競阿国戯場 累」香南市赤岡町本町二区
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ご挨拶
- 幕末の土佐に桁外れの絵師がいました。絵師・金蔵。通称「絵金(えきん)」と呼ばれました。芝居の名場面を強烈な色遣いと大胆な構図で描いた「芝居絵屏風」は、民衆に親しまれ、今なお多くの人々を魅了しています。
- 絵金の芝居絵屏風は1966年に雑誌「太陽」で特集され、70年代初めには東京や関西で展覧会が開かれたり、映画や舞台、小説などで取り上げられたりして一大ブームになりました。2020年には全国3か所で開催された特別展「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」で伊藤若冲や葛飾北斎らとともに紹介され、再び注目を集めました。
- そんな絵金が手掛けたとみられる貴重な屏風がこのたび発見されました。しかし、長年、民家の蔵にあったため劣化や破損が激しく、修復する必要があります。数少ない絵金の作品を将来に残し、伝えていくために、どうか皆様の力をお貸しください。
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絵金とは
- 金蔵(1812~76)は高知城下に髪結いの子として生まれました。江戸で狩野派に学び、帰郷後は土佐藩家老の御用絵師に出世しました。ところが、33歳頃、その地位を失います。贋作事件に巻き込まれたという説がありますが、真相は不明です。
- その後、各地を放浪し、町絵師に転じましたが、当時の足取りを示す確かな史料は残っていません。「謎の天才絵師」と呼ばれる所以です。
- ある時期、叔母を頼って滞在したとされているのが、赤岡(現在の高知県香南市赤岡町)です。絵金は酒蔵をアトリエに、商家の旦那衆の注文で、二つ折りの屏風に芝居絵を描く芝居絵屏風を大成させたと言われています。
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「花衣いろは縁起 鷲」香南市赤岡町本町二区
- 絵の題材のほとんどが歌舞伎や人形浄瑠璃の名場面です。斬られて転がった首や腕、血しぶき、女の執念や鬼気、切腹や敵討ち、親子の別れなどが大胆な構図で描かれ、恋情や憎しみ、忠義に翻弄される人々の情念が伝わってきます。赤岡には代表作と言われる23点が残り、高知県の指定文化財になっています。
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「浮世柄比翼稲妻 鈴ヶ森」香南市赤岡町本町一区
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絵金祭り
- 幕末の土佐には、神社の夏の祭礼で、氏子が奉納した芝居絵屏風を飾る独特の風習がありました。絵金が描く強烈な赤「血赤」は、邪気を払う魔除けの色と考えられたのです。一部の地域では、今も芝居絵屏風のある夏祭りの風景を見ることができます。
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- 赤岡では、毎年7月14、15日の須留田八幡宮の「神祭」と、それにならって1977年から7月第3土曜、日曜に開かれている「土佐赤岡絵金祭り」で、商店街の軒先などに芝居絵屏風が飾られてきました。夜、屏風の前に立てられたろうそくに火が灯り、極彩色の妖しい芝居絵が浮かび上がる幻想的な祭りには、県内外から多くの見物客が訪れます。
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芝居絵屏風を守る絵金蔵
- 各町内会で木箱などに収めて保存していた赤岡の芝居絵屏風を、適切な環境の収蔵庫で保管し、展示も行う施設として、2005年に開館したのが「絵金蔵」です。町民のアイデアをもとに、町内の農協の古い米蔵を、当時全国で最も面積が小さい自治体だった赤岡町が改装しました。
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- 施設の運営は、地域の人たちでつくる「絵金蔵運営委員会」が、香南市の指定管理者として担っています。今も地元で「絵金さん」と親しみを込めて呼ばれる町絵師が残した芝居絵屏風と、祭りの夜に屏風を街中に並べる文化を次の世代に伝えていくのが絵金蔵の使命と考えています。
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発見された屏風
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- 香南市の西隣、南国市の女性から絵金蔵に「家の蔵から『洞意筆』という落款がある屏風が見つかった」という連絡があったのは昨年3月でした。「洞意(とうい)」は、絵金が江戸で学んだ狩野派の江戸土佐藩御用絵師・前村洞和(とうわ)からもらった号です。女性は絵金について知りませんでしたが、インターネットで「洞意」を検索し、絵金蔵のホームページにたどり着いたとのことでした。
- 翌日、現地に向かい、屏風を見せていただきました。六曲一隻で、一番右の第一扇の下部に「洞意筆」の落款がありました。
縦約1.5メートル、横約2.9メートル。骨組みがない箇所もあり裏紙や下張りもかなり傷んでいましたが、絵の部分はほぼ残っていました。絵は「高砂図」で、「相生の松」の下に、熊手を持つ翁(おきな)と箒(ほうき)を持つ媼(おうな)の夫婦が描かれ、夫婦の長寿を祝うおめでたい図案とされています。 -
「洞意筆」
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- 複数の専門家に鑑定を依頼したところ、落款や筆勢などから、「絵金の真筆の可能性が高い」という見解が示されました。絵金筆と考えられている作品は芝居絵屏風のほかに、掛け軸や絵馬、白描(芝居絵屏風の下絵)などがありますが、六曲一隻という大きな屏風は例がありません。
- 絵金は江戸から土佐に戻った後、「林洞意」を名乗りました。御用絵師の職を解かれて林姓を剥奪された後、「弘瀬柳栄」を名乗りますが、画号「洞意」を後年まで使っています。ただ、「洞意筆」あるいは「洞意」の落款がある掛け軸や絵馬は数点しか見つかっていません。また、高砂図は江戸時代ごろから掛け軸の画題になったと言われていますが、絵金が描いた高砂図は初めてです。屏風は昨年6月、所蔵者から絵金蔵にご寄贈いただきました。
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絵金の高砂図
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- 熊手を担ぐ翁の顔や手、「相生の松」の描き方は力強く、狩野派の絵師としての技量がうかがえます。一般的な高砂図には媼の顔が描かれますが、この屏風では媼が後ろを向いています。そこに絵金の工夫が感じられます。
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- よく見ると、翁と媼の間にいる万寿亀が「気」を吐いていて、それが媼の胸元の辺りを通ってお日様の方に上っています。高砂図には万寿亀がよく描かれますが、専門家によると、「気」を吐く万寿亀は珍しいとのことです。媼が背を向けているのは、目の前を流れいく「気」を愛でている様子を表すためではないでしょうか。翁も「気」を眺めて喜んでいるように見えます。
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最後に
- 「洞意筆」の落款がある絵金作品は少なく、今回見つかった屏風は、これまでにない六曲一隻という大作です。よく知られた画題である「高砂図」にも絵金の独創性が発揮されています。
- 「土佐赤岡絵金祭り」の期間中、絵金蔵では特別展を開催しており、屏風が修復できたあかつきには、修復過程を含め、特別展で多くの方にご覧いただきたいと考えています。
- ただ、修復費用には最低でも280万円が必要との見積もりが出ており、絵金蔵や地元関係者だけでは賄うことは難しいのが現状です。
今回の目標額は、集まった金額から返礼品の制作・郵送費用や各種経費を差し引いた額と、絵金蔵関係者などからの拠出で修復できるように、設定させていただきました。
ご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。 -
御礼の品(返礼品)
- 本プロジェクトにご支援頂いた方へのお礼として、以下10種類のコースに分けて、お礼の品(体験)を用意させて頂きました。
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①5千円コース
- 修復する屏風に描かれたものをモチーフとしたポストカード3枚を、お礼に郵送させていただきます。時期は12月頃を予定しています。(下の画像は、現在作成中のイメージです)
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②1万円コース
- お礼状と、クラウドファンディング限定の特製手ぬぐい1本を郵送させていただきます。手ぬぐいは修復する屏風に描かれたものをモチーフとしたものです。時期は12月ごろを予定しています(下の画像は、現在作成中のイメージです)。
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③3万円コース
- ▽「リアルお披露目会」に1名様ご招待~修復完了後に屏風のお披露目会を開きます。日程は2025年夏を予定していますが、決まり次第連絡します(赤岡町までの交通手段や宿泊先などは、ご自身で手配)。
▽修復する屏風の下貼りに、ご支援いただいた方の氏名を記載。
▽お礼状と、クラウドファンディング限定の記念Tシャツ1着を郵送します。時期は2023年12月頃を予定しています。(下の画像は、現在作成中のイメージです) -
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④10万円コース
- ▽「絵金蔵特別限定ツアー」に2名様ご招待~専門家の解説付きで、絵金蔵の収蔵庫で本物の芝居絵屏風数点を鑑賞、さらに、赤岡町周辺のゆかりの地の見学会に招待。実施日は応相談(赤岡町までの交通手段や宿泊先などは、ご自身で手配)。
▽「リアルお披露目会」に1名様ご招待~修復完了後に屏風のお披露目会を開きます。日程は2025年夏を予定、決まり次第連絡します(赤岡町までの交通手段や宿泊先などは、ご自身で手配)。
▽修復する屏風の下貼りに、ご支援いただいた方の氏名を記載。
▽お礼状と、クラウドファンディング限定の記念Tシャツ1着と、特製手ぬぐい1本を2023年12月頃に郵送します。 -
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⑤30万円コース
- ▽「絵金蔵特別限定ツアー」に4名様ご招待~専門家の解説付きで、絵金蔵の収蔵庫で本物の芝居絵屏風数点を鑑賞、さらに、赤岡町周辺のゆかりの地の見学会に招待。実施日は応相談(赤岡町までの交通手段や宿泊先などは、ご自身で手配)。
▽「リアルお披露目会」に1名様ご招待~修復完了後に屏風のお披露目会を開きます。日程は2025年夏ごろで、詳しく決まり次第連絡します(赤岡町までの交通手段や宿泊先などは、ご自身で手配)。
▽修復する屏風の下貼りに、ご支援いただいた方の氏名を記載。
▽吉川染物店が制作するクラウドファンディング限定タペストリーを1枚プレゼント。
▽お礼状と、クラウドファンディング限定の記念Tシャツ1着と、特製手ぬぐい1本を2023年12月頃にプレゼント。 -
⑥~⑩おこころざしコース
- 返礼品は不要という方のコースです。頂いたご支援は、有り難く屏風修復に使わせていただきます。
⑥おこころざし(5千円コース)、⑦おこころざし(1万円コース)、⑧おこころざし(3万円コース)、⑨おこころざし(10万円コース)、⑩おこころざし(30万円コース)を用意させていただきました。 -
賛同者から一言
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高知県立美術館初代館長・前岡山県立美術館館長 鍵岡正謹
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- 高知県立美術館の館長を務めていた1996年、美術館の開館3周年記念として絵金展を開催し、芝居絵屏風を初めて“美術作品”として取り上げました。幕末から明治初めにかけての日本の画家のなかで、絵金はもっとも優れたうちの一人だと思います。
ただ、絵金については未だわからないことが多く、今回の屏風は、絵金のことを調べる上で非常に貴重な作品になるでしょう。長寿社会を迎えた今、「高砂図」という長寿を祝う画題の絵が見つかったことも、誠におめでたいことです。何とか修復が実現することを願っています。 -
吉川染物店五代目 吉川毅
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- 初代は材木商で、赤岡に滞在していた絵金に師事し、染め物を始めました。その伝統的な染色技術を継承し、端午の節句に掲げられる高知独特の大旗「フラフ」などの染め物や、土佐和紙を使った手描きの「土佐凧」を手がけています。
- 私の祖父が収集した絵金の「白描」は数百点に上り、十数年前まで自宅を改装した「絵金資料館」で展示していました(白描は現在、絵金蔵に寄託)。
- 今回発見された屏風は、私たちがよく知る芝居絵屏風とは異なり、やわらかで穏やかな絵が印象的です。絵金が狩野派の技法をきちんと身につけていたことを、みなさんに知ってもらうためにも、非常に貴重な屏風を美しい姿によみがえらせていただきたいと思います。
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ご注意点
- このクラウドファンディングは、「目標達成型」で行われます。終了日までに目標金額が集まらなかった場合、屏風の修復は中止となり、ご支援いただいた費用は返金させていただきます。
お申し込みの際は、ご連絡先の入力にご注意ください。メールアドレスや電話番号、住所などを誤って入力されたため、連絡が取れなかったり、返礼品が送れなかったりするなどのトラブルが、時折発生しております。このような場合、返礼品の再送費用や保管費用を、別途頂戴する場合があります。
起案者からの連絡がない場合、連絡先を入力し間違えている可能性があります。idea market事務局などにお問い合わせください。
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